『花束みたいな恋をした』おすすめ!あらすじネタバレ。5年間のラブストーリー紹介
『花束みたいな恋をした』は、2021年1月29日公開の日本映画です。 監督は土井裕泰、主演は菅田将暉と有村架純で男女の5年間の愛を描くラブストーリーです。
『花束みたいな恋をした』あらすじ
都会のあるカフェで、スマホに繋いだひとつのイヤホンのLとRを分け合い、同じ音楽を聞こうとしている若いカップル。
そのカップルを見ていた別のテーブルの男性・山音麦(菅田将暉)は、連れの女性に対して「あのカップルは、音楽が好きじゃないな」と言います。
イヤホンのLとRから流れる音楽は別の音なのだと指摘した麦は、2つで1つの完成しているものを無理やりに分けている不自然さを友人に語ります。
別のテーブルでも女性・八谷絹(有村架純)が恋人の男性に対して、「片方ずつで聴いたらそれはもう別の曲なんだよ」とうんちくを語り本人たちに指摘しに席を立ちます。
同じタイミングで店内で席を立った麦と絹は、互いの存在に気づきました。互いの顔を見た麦と絹は、気まずそうに席に座りなおします。
21歳の八谷絹は、大学生で、実家で両親と姉と一緒に、ひそやかに暮らし趣味はラーメンの食べ歩きをしたブログをアップロードすることです。
ある日絹が好きな、お笑い・天竺鼠のライブに行く途中で、少し好意を持っていた同級生・富小路翔真(佐藤寛太)とばったり会いました。
焼肉に誘われた絹は、お気に入りのセーターに匂いがつくのを気にしつつ食事を共にしますが、翔真は他の女性と待ち合わせをしており、単なる時間潰しで誘われただけだと絹は知りがっかりしました。
天竺鼠のライブには行き損ね、しかも終電を逃がして、絹はネットカフェで時間をつぶす羽目になりました。
21歳の大学生・山音麦は、調布駅にある家賃約6万円のアパートで独り暮らしをしていました。麦は、スケッチブックにイラストを描くのが趣味でした。
麦は3カ月前Googleストリートビューを見ていたところ、自分が写っているのを見つけたのを見て奇跡だと友人に自慢していました。
そんな麦も天竺鼠のライブに行き忘れていて、財布の中にチケットが眠ったまま行かず仕舞いでした。
ある夜、絹と麦は東京・京王線の明大前駅で終電を逃がし、再会します。たまたま居合わせた男女4人でお店に行くことになります。
店内にいた押井守監督を見つけた麦は、そのことを目の前の男女に教えましたが他の2人ともわかっておらず、タクシーに乗り込み去りました。
絹は麦と別れる直前に、押井守に気づいたことを伝え、話は盛り上がり、いっしょに居酒屋へ行きました。
居酒屋で向かい合って話をしてみると、麦と絹には共通点がたくさんありました。スニーカーのメーカー、好きな作家、好きなバンド、好きな映画いずれも一致しています。映画の半券をしおりにするタイプという所までも、同じでした。
天竺鼠のライブのチケットを取ったのに、行けなかったというところまで同じだったと知ったふたりは、運命すら感じました。
2人は家に遊びに行く関係になります。麦の家には本棚に麦の描いたイラストがありました。
照れながら麦は、将来イラストを描く仕事に就きたいと話します。
その後、絹の誘いで国立博物館のミイラ展へ行き、デートを3回重ね、そして付き合うことになりました。
その後の交際も順調で、ふたりはあちこちに出かけ、いろんなものを共有します。
絹は就職活動に励み、麦はイラストを頑張ります。絹は思うように就職活動がいかず、落ち込んでいました。
麦は絹に無理をするなと励ましますが、絹は両親が許さないと話します。絹の両親は広告代理店に勤務しており、新卒で就職しない者は反社会勢力だと言わんばかりの偏見を持っていると答えました。
ふたりは同棲を開始します。
絹はアイスクリーム屋にバイトを決め、麦はネットで「1カット1000円」の絵の仕事を始めます。クリスマスはお互いにイヤホンをプレゼントし、仕事以外はふたりの時間を楽しみます。
大晦日も実家に帰らずふたりで過ごしました。初詣のために行った近所の神社で、ふたりはクロネコを拾います。
〔2016〕
拾ってきた猫に「バロン」という名をつけました。多摩川沿いのアパートで、ふたりは猫を飼い始めます。
春に大学を卒業したふたりは、フリーターになりました。
ゴールデンウィークに絹の両親がアパートへやってきて、ふたりを心配します。その直後には、新潟県から麦の父がアパートへ来て、故郷へ戻らないと仕送り5万円を止めると言われ、麦は断り東京へ残ると決めます。
絹はアイスクリーム屋で働きながらも、簿記の資格の勉強をしていました。麦はイラストの仕事を募っていますが、「1カット1000円」で受けた仕事を「3カット1000円」に値切られてしまいます。
麦も生活のために就職を決意しました。働きながらでも絵は描けると思い、就職活動を始めます。
絹の就職も決まり、歯科医院の受付事務の仕事が決まります。
〔2017〕
麦の仕事がネット通販会社の物流関係の仕事に決まります。多忙で、営業職で働く麦は、日々仕事に追われます。
「絹との生活の現状維持」で生活費を稼ぐために就職したはずが、いつの間にか麦は仕事一色になりました。絵を描かなくなり、家に仕事を持ち込み、休みも出張の前乗りをするありさまです。
絹は大学時代と変わらず、好きな本、好きな映画、舞台を楽しみました。麦にもそれを勧めます。
本屋に行っても麦がチェックするのは、『人生の勝算』などビジネスのハウツー本でした。
絹は麦の変化を寂しく思い、麦は絹を「いつまで学生気分でいるんだろう」と思います。
次第にふたりのあいだですれ違いが起こっていました。
〔2018〕
歯科医院の事務をする絹は、自分の好きなことをしたいと考えます。その頃に知り合ったイベント会社の社長・加持航平(オダギリジョー)に誘われて、絹は転職を決めました。給料は下がりますが、絹はやりがいを重視します。
しかし麦は遊びの延長のようだとその仕事を見下す言葉を放ち、言い争った勢いで絹にプロポーズし、仕事をやめて好きなことをすればいいといいます。絹は落胆しそのプロポーズを「思ってたのと違う」と拒絶します。
友人の葬儀に出た麦と絹は、帰宅した後もことば少なく、会話のタイミングもずれてしまい、お互い「なんかもう、どうでもよくなった」という気持ちになります。
もはや喧嘩する気力すらわかず、会話もなくなりました。
〔2019年〕
ふたりの付き合いは5年めに突入し麦も絹もいっしょに暮らしていました。別れを考えているふたりは「どうやって別れるか」その方法を模索していました。最後くらいは笑顔で別れたいと、麦も絹も考えています。
友人の結婚式に出たふたりは、この日に別れようと決めます。
観覧車に乗り、カラオケに行き、付き合うときに行ったファミレスに立ち寄ったふたりは、テーブルで昔の写真を見返していました。かつて楽しい時間を共有したことを、話題にします。
麦は別れる必要がない、結婚しようと言います。「恋愛感情がなくなっても、家族になったらうまくいく」と麦は言いますが、絹は「またハードル下げるの?」とことばを返しました。麦は絶句します。
別れを決めた麦と絹は、帰り道に久しぶりにじっくりと会話しながら、歩いて帰りました。皮肉なことに、別れを決めてからはまた、ふたりの意見は一致します。
別れて絹が部屋を出ると決めてからも、3か月は一緒に暮らしていました。表面上は仲良く会話をしながら、楽しそうに暮らします。
そんな中猫のバロンは麦が引き取りました…。
それからしばらくして、麦は6年ぶりの「奇跡」に遭遇します。Googleストリートビューを見ていると、多摩川の土手を歩く麦と絹が写り込んでいるのに気づいたのです。
ふたりはまだ仲良さげで、手を繋いでいました。絹の手には買い物袋と、小さな花束がありました。
『花束みたいな恋をした』口コミ
・すべて見終わったあとで反芻すると、映画タイトルの意味がよく判ります。まさしく「花束みたい」。 菅田将暉さん、有村架純さんという美男美女のカップルが出ています。
このふたりをただ眺めているだけでも、あっという間ですよね。 小さな恋愛エピソードが連なっていく作品。いっこいっこが重なって紡ぎだされる様子は、まさしく花束。 麦と絹のモノローグが続く形式もよかったです。
・どっちもお互いそれなりの努力をして歩幅が合わなかっただけで、人生は選択とタイミングが全てなんだね。
でも仕事で疲れてる時に「希望のかなた」見たらわたしもあの顔になると思う。
誰しも恋というものは、運命的だと錯覚する事から始まる。麦と絹の始まりも運命的な趣味の一致から始まった。
・大学の卒業、そして社会に出る事。
置かれた環境の変化に振り落とされないよう変化しなければいけない一方で、ずっと一緒にいる為に変えてはいけない大切なもの。相反する矛盾に麦と絹の価値観が次第に離れてゆき、結果的に生じたその亀裂が二人の関係に終止符を打つ。
必然的に起こる様々な矛盾を、共に二人で受容出来なかった、できなくしてしまった過程がメインの展開でもある。
選ぶという事は何かを選ばない事でもある。
そんな事実を浮き彫りにしながらすれ違ってしまう二人に、私達は無意識にどこか自分を投影してしまう。
二人はファミレスで若い男女を見て、かつての自分達を重ねて泣いてしまうが、その理由が一致してない事で、既にすれ違っている事を表現している。そんな風に感じたワンシーン。
『花束みたいな恋をした』まとめ
ハッピーエンドではないが、きれいごとでは終われない現実に起こりうる恋愛観が描かれていました。小さな恋愛エピソードが花束みたいに繋がっていく作品。ぜひ見てください。